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戦争に負けた日本

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ずいぶん前に亡くなられたが、我が家の斜向かいにお子さんの居ない老夫婦が暮らしていた。奥様は癌で亡くなる寸前まで、50年以上勤め続けた工場に自転車で通っていた。植物が大好きで庭で様々な植物を育て、愛でていた。ゴミ集積所の後片付けを必ずしてくれていたし、秋に街路樹の葉が散り始めると、毎朝ホウキで掃いていた。ある日、仕事は上がっているであろう夕方に、箒と塵取りとゴミの入った袋をぶら下げながら自転車をこいで帰ってきたので、「おばちゃん、どこに行ってきたの?」と聞くと、「xxのバス停の周りがゴミだらけで、気になって仕方がないから、毎日掃除しに行ってるの。だって綺麗な方がいいでしょう。」と返された。そのバス停は徒歩15分ほど離れている場所である。今の若者の多くが???、掃除しに行く理由が見つからない。多分、戦後すぐくらいまでは、こんな方々がたくさん残っていたはずだ。戦勝国のアメリカ合衆国が最も恐れた精神性、利他主義、大和魂である。GHQが、憲法にはじまり、書籍処分や教育改革で洗脳し、抹殺したものである。私はリサイクルゴミの日の折り畳まれたケースを組み立てながら、いつもおばちゃんを思い出す。

2024.10.16  Hitoshi Shirata

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