『新編 チョウはなぜ飛ぶか フォトブック版』
日本に限らず、世界の動物行動学の第一人者であった日高敏隆。2009年に他界した後も著作が出版されつづけるほど、年齢性別を問わず広く愛された学者でした。日高が75年に出版した「チョウはなぜ飛ぶのか」を、日高の教え子である昆虫写真家・海野和男の美しくも神秘的な写真を追加したのが本書。
『チョウは「なぜ飛ぶか」といったら、「ものを探している」が答えだ。探すものは三つあって、食べものであるミツをもつ花と、卵を産む場所と、それからメス』
チョウは、ふらふらとどこへ行くのかわからないような不安な飛び方をします。
ところが実際は、そこにチョウ道と呼ばれるすすむ道があるのだそう。主にアゲハの仲間にだけ見られるもので、地形や光、温度、木の葉の種類などを1mしか見えない視力で見分け、上に下によろよろと羽をはためかせているのです。子どものころの好奇心を失わず、生き物のふしぎを追った日高の姿は、微笑ましくも尊敬してしまいます。
著者:日高敏隆
写真:海野和男
出版社:朝日出版社
2013.1.07 Yoshitaka Haba : BACH
幅 允孝(はばよしたか)
BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。国立新美術館ミュージアムショップのスーベニアフロムトーキョーやLOVELESS、CIBONEなどにおける本のディレクションのほか、編集、執筆など、本周りのあらゆる分野で活動中。今年に入ってから、SHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERS、大阪の阪急百貨店メンズ館のThe Lobby、銀座のHANDS BOOKSがオープンしました。
URL: www.bach-inc.com