テラリウム
30年以上前に大流行したセントポーリア。私も高校生の時に、当時最も普及していたラプソディー種を机の上の蛍光灯で2鉢育てていました。現在、量産されるのはオプティマラ種なのかな?
今年の2月、本の撮影のためにテラリウムを作らなければならなく、花の咲く植物が良いかなっと思って、瓶に入れ易いミニチュア種を手に入れました。残念ながら撮影には使えなかったので、直径9cmのアンティークボトルに入れて、育てていました。ガラスの蓋が乗っているので、たまに換気する以外は、全くの密閉状態です。水やりも2ヶ月に1回くらい、ほんのちょっと上げるだけ。4月からは、まだ1回も水やりしてません。順調に生育して先月から花が咲き始めました。
これが、かわいくて、かわいくて、どうしようもないのです。葉っぱ1枚が1cmくらいの大きさしかないのに、花は広がると2cm近くもあるのです。それが直径9cmの瓶にぴったり収まっている。無風環境に強い植物なのは知っていたが、隣で通常の鉢に植えてあるセントポーリアよりも良く育っています。しかも、土の上面が見えるためか、風景を感じさせてくれます。タンザニアの山中の倒木に苔がむして、その上で生育しているアフリカスミレを......。
昔は「室内園芸の女王」とまで言われて、首都圏の大型花店では必ずセントポーリアコーナーが設けられていたのに、今、都心部では新宿京王百貨店の屋上に残るくらいかな。主婦の方々を中心とした文化だったため、当時売られていたすべての小道具がファンシーな感覚に寄っていました。昨今のインテリアの流れには明らかに合わないですし、セントポーリアのみならず、昔ながらの園芸文化自体が細くなっているのだと思います。「室内園芸」という言葉が、まずはピンとこないですよね。
この、無風に耐える力は驚異的です。花を楽しむ鉢花植物ではなくて、観葉植物のような扱いで普及させたら良いのに。セントポーリアの栽培農家さん、がんばってください。華やかな花を咲かせる品種ばかり増やすのではなくて、スミレをイメージさせるミニチュア種ばかりのアソートケースを出荷してくださ〜い。「テラリウム」は自作するもの、っという常識を覆して、商品としてのテラリウムが出来たら素敵です。ん〜っ、自社で栽培する道も考えてみようかな。
2012.7.25 Hitoshi Shirata