『アラマタ生物事典』
バラエティー番組などの出演で、何でも知っている珍妙なおじさんという受け止められ方をしていそうな荒俣宏。実際は幻想文学や博物学、妖怪学、図像学などに精通した研究者顔負けの知識人でもあります。
そんな荒俣宏の知識を総動員して作られる事典シリーズ。大辞典、人物伝に続く第三弾である『アラマタ生物事典』は、生き物の生態をただ解説した本ではありません。この本は、私たち人間がいかに生き物から新しい知識や技術、豊かさを引き出してきたかをおしえてくれています。
アホウドリの項目では、南太平洋ナウル共和国というポリネシアの島がアホウドリの糞が積もってできたもので、糞の化石であるリン鉱石が収入源だということに驚き、ホタテ貝では、貝殻を粉にして焼いたものが殺菌・消臭効果を持ち建物の塗料に使われたり、水虫治療薬としても利用されるなど、身近な生き物から教えられることがなんと多いことかと終始驚きっぱなし。
著者:荒俣宏
出版社:講談社
2012.1.01 Yoshitaka Haba : BACH
幅 允孝(はばよしたか)
BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。国立新美術館ミュージアムショップのスーベニアフロムトーキョーやLOVELESS、CIBONEなどにおける本のディレクションのほか、編集、執筆など、本周りのあらゆる分野で活動中。今年に入ってから、SHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERS、大阪の阪急百貨店メンズ館のThe Lobby、銀座のHANDS BOOKSがオープンしました。
URL: www.bach-inc.com