FLOWERS

アーヴィング・ペン、1917年、アメリカのニュージャージー州生まれ。

フィラデルフィア美術大学でアレクセイ・ブロドビッチに師事した後、ハーパース・バザーにイラストが採用され、その原稿料でローライフレックスカメラを購入したペン。その後の活躍については、みなさんご存知の通りです。

卒業後、アレクサンダー・リーバーマンに請われてヴォーグ誌へ。ペンの才能を見抜いていたリーバーマンは、若造だったペンに表紙の撮影もまかせるようになります。自然光を強調するための人工光線や、単純な背景をバックに対象を捉えるスタイルは斬新で、後のファッション写真に多大な影響を与えました。

またファッション以外にも、ペルー、ネパール、モロッコなど世界中を旅し、各地の個性的な民族をスタジオで撮影したり、おちゃめなドローイング作品も多く残しています。

そんな巨匠ペンの代表作のひとつ、『FLOWERS』。1967年〜1973年のヴォーグのクリスマス号のために撮影された花のカラー作品を集めたものです。

チューリップ、バラ、牡丹、蘭など、クローズ・アップでとらえたつややかで匂いたつような花々。花単体を捉えているにもかかわらず、花や花を贈ること、それにまつわる人生やストーリーまでも伝わってくるようです。

2009年10月7日朝、ペンはマンハッタンの自宅で静かにその生涯を閉じました。

作者：Irving Penn

出版社：Harmony

2011.1.03  Yoshitaka Haba : BACH