『木の手帖』
日本最初の植物図鑑である『本草図譜』をつくったのが、岩崎灌園という人です。
植物を愛してやまない灌園にとって、図版が欠落している文献や、精密さに欠けて、花と実の区別もつかないような植物画がゆるせなく、図鑑づくりに踏み切ったのだとか。
本書『木の手帖』には、灌園の描いた樹木が『本草図譜』より約190点、解説や季語、俳諧などと共に紹介されています。
美しく花開いたしゃくなげ、立派な実をみのらせたみかん、深紅に染まったうるしなど、図鑑とは思えないほどの大胆な構図と鮮やかな色彩で描かれていて、これが江戸時代に描かれたというのだから驚いてしまいます。
着物に描かれていてもおかしくないほどに愛らしい植物画は、一見の価値ありですよ。
尚学図書
出版社:小学館
2010.8.08 Yoshitaka Haba : BACH
幅 允孝(はばよしたか)
BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。国立新美術館ミュージアムショップのスーベニアフロムトーキョーやLOVELESS、CIBONEなどにおける本のディレクションのほか、編集、執筆など、本周りのあらゆる分野で活動中。今年に入ってから、SHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERS、大阪の阪急百貨店メンズ館のThe Lobby、銀座のHANDS BOOKSがオープンしました。
URL: www.bach-inc.com