『園芸家12カ月』
チェコの作家、劇作家、ジャーナリストであり、「ロボット」という言葉を作ったとも言われているカレル・チャペック。
このチェコの最も著名な作家は、ナチズムを痛烈に批判したため、ゲシュタポ内で『チェコ第二の敵』として危険視され、マークされていました。そんな彼の大好きな趣味、それは庭いじり。
このエッセイをひとたび読めば、人びとの心は耕され、緑の木々が茂り、花々が咲きみだれます。その絶妙のユーモアは、園芸に興味のない人を園芸マニアにおちいらせ、園芸マニアをますます重症にしてしまうのです。
園芸への筋金入りっぷりは、彼の死因をみれば明らか。12月中旬、嵐で荒れた庭の手入れをしたことが原因で風邪をひき、一時回復するものの19日に悪化。12月25日の未明に肺炎により永眠します。
翌年にナチはプラハを占領。チャペックの死を知らないゲシュタポがチャペック邸を襲撃したのですが、彼は大好きな園芸をこころゆくまで嗜み、安らかな眠りについた後なのでした。
2010.2.11 Yoshitaka Haba : BACH
幅 允孝(はばよしたか)
BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。国立新美術館ミュージアムショップのスーベニアフロムトーキョーやLOVELESS、CIBONEなどにおける本のディレクションのほか、編集、執筆など、本周りのあらゆる分野で活動中。今年に入ってから、SHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERS、大阪の阪急百貨店メンズ館のThe Lobby、銀座のHANDS BOOKSがオープンしました。
URL: www.bach-inc.com