『柳宗民の雑草ノオト』
「雑草という名前の草は無い」 、とは昭和天皇のお言葉。
どんな草にも名前はあり、人間の都合で邪険に扱うような呼び方をすべきではない、という意味なのですが、この「雑草ノオト」における「雑草」には、また全然違う意味の愛情がたっぷり込められています。
確かに、雑というのはよくない印象。しかしそこには美人も不美人も差別なく、日々ふれあう仲間への気安い間柄が伺えるのです。
本を開くと、春、夏、秋、冬の身の回りの草花たちが、2巻に分けて、きっちりと4ページで紹介されていきます。
1ページは美しい三品隆司さんの挿画で。残り3ページは科名、学名、生態などの学術的情報、さらにその由来や生態を揶揄するようなユーモアあふるるエッセイをちりばめた、文字数までほぼ同じのテキストで。
ここまで細やかな配慮がなされた上での「雑草」よばわり、本当に草花が好きな人の小話を聞かせてもらうことができます。
2009.10.11 Yoshitaka Haba : BACH
幅 允孝(はばよしたか)
BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。国立新美術館ミュージアムショップのスーベニアフロムトーキョーやLOVELESS、CIBONEなどにおける本のディレクションのほか、編集、執筆など、本周りのあらゆる分野で活動中。今年に入ってから、SHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERS、大阪の阪急百貨店メンズ館のThe Lobby、銀座のHANDS BOOKSがオープンしました。
URL: www.bach-inc.com