神の摂理

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続々と、様々な草木が芽吹いています。つい数日前まで芽だったはずなのに、出てきた葉が大きく展開していて、生長のスピードには毎年驚かされます。

隣の家の屋根裏に潜んでいたアシナガバチも無事に越冬を終えて、巣作りを始めました。だがしかし、昨秋の巣の小ささからの予想で心配していた通り、去年は5匹出てきた女王蜂も今年は2匹になっていました。近隣の区画整理で多くの植物が抜かれてしまったのですから、彼女たちの血統が絶えなかったことだけでも喜びましょう。それに増えれば良いというものではありませんね。刺されるリスクが増しますから。

一昨年の晩夏のことを思い出しました。こんな住宅街のどこから来るのか、巣がスズメバチに襲われるのを目撃しました。体の大きさの差は絶対的で、スズメバチ一匹に十数匹が応戦して、子を盗られまいと必死で攻撃していましたが、十数分間ほどの戦いの後、アシナガバチたちはすごすごと引き下がり、巣から20cmくらい離れたところで遠巻きにして、為されるがままを見ているのでした。スズメバチは蛹や幼虫を引きずり出すと噛み砕いて、一匹分の美味しそうな肉部分だけを一つの団子にすると自分の巣へ持ち帰り、また飛んで来てはせっせと肉団子作りを繰り返して、蛹や幼虫を殺し尽くすのでした。スズメバチが巣へ帰っている間も、アシナガバチたちは怖じ気づいているのか、遠巻きにしたままピクリともしません。子供達が全部さらわれてスズメバチが再来しない確信が持てるとまた、アシナガバチたちは何事も無かったかのように集団活動を始めるのでした。

スズメバチがたった一匹であれだけの作業をこなすのには驚きましたが、アシナガバチたちの諦め方も驚きでした。人間的な心理からは想像できない行動です。そりゃあもう、きっと昆虫の世界には正義などという厄介なものは無いのでしょう。それにしても、スズメバチに襲われたコロニーだったというのに越冬した女王蜂が5匹だったのですから、もし襲われなかったとしたら何匹の雌蜂を残したのでしょう。自然の作り出した摂理に驚愕します。

さて、あのアシナガバチたち、今秋には何匹の雌蜂を残すことができるでしょうか。今年は、洗濯物を干す場所のすぐ上に巣を作り始めているので、刺されないように要注意です。

2009.4.14  Hitoshi Shirata

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