芽吹きの季節

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気付けば今年もあっという間に3月です。子供のころは長く感じた1年が、なぜ大人になると短く感じるのでしょう。歳を重ねるごとに時間の経過はより早く感じるようになるといいます。

分子生物学者の福岡伸一氏によると、私たちの体内時計はタンパク質の新陳代謝速度を基準に動いているからなのだそうです。そして新陳代謝速度は加齢とともに遅くなる一方なので、体内時計の秒針の動きは徐々に遅くなってゆく。だから、自分の身体の感覚では半年くらいが経過したかな〜と思ったそのときには、すでにもう実際の1年が過ぎ去っている。というのが、加齢とともに時間が早く過ぎる錯覚となっているようなのです。

どんなことでもそうですが、何をどうすべきかは、1年間は回してみないと判らないものです。夏と冬の差がはっきりしている国土で暮らしているからなのですが、服装ひとつとってみても、秋に着る物を選び違えただけで風邪を引いたり、いくら歳を重ねても失敗することが多々あります。

NEO GREEN は一昨年の秋に開店。植物ストック場の温室ができたのが去年の5月。1年回るのにあと3ヶ月かかります。温室では思いもよらぬ事故がたくさん起きます。そもそも扱っている植物があまりにも多岐にわたっているからなのですが、落葉する草などは名札をつけないと冬には何が植わっているのか判らなくなりますし、温度管理や肥料の加減など、全種類を完全にケアーするのは至難の業です。植物にはかわいそうですが、いくつかの種類をだめにしてしまいました。しかしその経験でそれぞれの限界を知りました。逆に自前の環境ならほったらかしでもスクスクと育つものも判りました。まだまだ模索が続きそうです。

園芸植物はたいへんです。もともと身近な土地に生えているものよりも、遠い遠い季候の違う国に生えている草木を尊ぶ傾向があるのですから。そして園芸植物の改良も、ないものねだりで進行します。青い薔薇や青いカーネーションのように........。そんな人情は否定できませんが、ものには「ほど」というものがあるように思えてなりません。

だから、芽吹きの季節になり改めて思うのです。NEO GREEN でお伝えしたいのは「自然のすばらしさ」なのだと。より多くの人が園芸植物と暮らすことで、大自然を頻繁に意識できるようになれたらうれしいですし、都市生活を送る人にそんな人たちが増えてくれたら素晴らしいなぁ。と

2009.3.02  Hitoshi Shirata

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